フェイクダイヤ

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「わかった」と清美は立ち上がり、冷蔵庫からいろはすを持ってくるとフタを開けた。 こういうことね? 「盗みに入る何日か前から、低周波の仕掛けを決まった時間に起動する。それで金庫の警報が鳴るけど、何も異変は無い。いろいろ調べたら警報が鳴り出したのは蓄電装置が変えられてからだと気づくわね」 「そうだね」 「あー、一度は蓄電装置を止めて、警報が鳴らないかどうか確認するかも」 「うん」 「それで鳴らないなら、蓄電装置が原因だと結論づけて装置を変えるかな…で、新しいのと入れ替わるまでは、その時間だけ警報は鳴っても細かく確認はしない」 「そう。もちろん警備員は確認の為に目視(もくし)しに行くけど」 「けど、警報の理由が蓄電装置だって分かっているから、念入りに調べない」 「その隙きを狙うみたい」 「いつ?」 「今夜。やる?」 「今夜!?やらないなら?」 「もちろん俺がやる」 僕は意地悪な笑顔で清美を見た。 「やるわよ。で、侵入方法は?」 「とりあえず、19時に現地に行って」
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