神様の言う通り

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神様の言う通り

「あのー、あなたは?」 「は?何?お前が呼んどいてそれはないんじゃない?」 僕の前には突如どこからともなく現れた青年が立っていた。 髪は綺麗な黄金色で、無造作ヘアーではあったが清潔感がある。 瞳は青く清んでおり、鼻筋はスッと通っていた。 口は妙に色気があり、思わず唾を飲み込むほど。 身に纏うは、大きな鳳凰が一匹に、色とりどりの布を振りまく天女の姿が刺繍された衣。 不思議と神々しさを感じるその出で立ちと、先程の自分が発した言葉を合わせて、僕は一つの結論に達す。 「ま、まさか。神様ですか?」 「神様ですか?じゃ、ねーんだよ。 お前が、出てこい、神様!!って言うから出てきたんだろうが。 それなのに、お前ときたら。 なに?疑うの? あーならもういいわ、帰ろ」 そう言うと、神様は突如として消えた。 「あーあのー、すみませんでした! もう、疑ってないんで、お願いします出てきてください。神様!!」 すると、数秒おいてから、また神様が現れた。 「あのさ、先ず一つ。お前うるさい。 そして二つ。俺は、七つの玉を揃えたら現れる龍じゃねーから、『出よ!!』的なのやめてくんない? そして、三つ。お前は必死に俺を呼んでるけど何がしたいわけ?」 確かに三つ目は最もであり、正直現れないであろう神様が現れたのことに驚き、その流れ的な感じでつい呼び戻してしまった事は否めなかった。 「いや、それはそのー」 明らかに困惑している僕と、明らかにイラついている様子の神様。 「じゃあ、質問です。 僕は何でこんなにツイてないんでしょうか?」 先程の彩芽のこともある。 僕なりにひねり出した問いだったが、神様は少しも間を置かずに答えた。 「は?何言ってんの?お前ついてるよ。 ついてるから運が悪いんだっての」 「え?ツイてる?どこがですか?今さっきも彼女に振られたし。 それにツイてるから運が悪いって?どう言うことですか?」 「あのさ、お前何か勘違いしてない? お前のツイてないは、運が悪いってことだろ?」 「はい」 「俺が言ってるのは運が悪いとか、そんなんじゃねーよ。 俺が言ってんのは、とり憑いている。 つまり、お前には疫病神がくっついてんだよ。 そりゃ、悪いこと起こるわな」 「え?疫病神?どこに?」 神様は仕方なさそうに僕の肩に手を触れた。 すると、みるみる間に色白い顔をした老人が現れた。 「うわ!?」 「たくよ、疫病神のじーさんったら最近ボケ始めたみたいでよ。本当は疫病神って言ったら一年過ぎたら違う人間に憑かないといけない決まりになってんのに、どうやらそれを忘れちまってお前にまだ憑いてるらしい」 「え?神様もボケるんですか?」 「まぁー、皆が皆じゃないけど、中にはいるぜ」 「へ、へぇー。 てか、え?待てよ?てことは、もし疫病神さんがボケてなくて、12月31日で僕から離れていたら、、、」 「あー、そうだな。 もしかしたら、さっきみたい状況にはなっていなかったかもしれねー。 でもよ、俺からすれば時間の問題だったと思うけどな。 どっちにしろ、お前の知らねー所で、知らねー男と寝てたんだろ?」 神様の言っていることは正しく、僕は何も言い返せなかった。 「でも、あれだ。 これも何かのご縁かもしれねー。 もしお前が望むなら、この一年、俺がお前専属の神になってやっても良いけど、どうする? 後はお前次第だ」 「専属の、神様?」 何もかもが縁である世の中。 彩芽との出会いも縁であれば、最悪であれ、別れも縁である。 これからも、僕は色んな縁の中を生きていく訳だが、僕の人生で二度と出会うことのないご縁が、今、神様から提示されたのだった。
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