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第二章 違法薬品密輸業者
それから二日後の夜、キリヤのスマートフォンが震える。
キリヤはそれを手に取ると、メールを確認する。
スマートフォンをテーブルに置き、傷の確認に移る。
腹の傷はだいぶよくなっていた。
包帯を捨て、ワイシャツを羽織った。
美乃華にオーダーが入ったことを伝えるべく、キリヤはリビングに向かった。
「美乃華」
ソファに座っている美乃華に声をかけた。
「はい、なんでしょう?」
彼女が顔を上げる。
「オーダーが入った。今から向かうぞ」
「分かりました」
美乃華はうなずくと、自室に引っ込んだ。
キリヤも自室に引き返し、黒の長いローブを羽織り、同色の革手袋を引っ張り出した。隠し棚に置いてあった二本の黒刀を取り出して、両腰に帯びる。最後に出してあった革手袋を嵌めた。
キリヤがリビングに戻ると、腰にポーチとリヴォルバー二挺を身に着けた美乃華が待っていた。
「いくか」
美乃華がうなずくのを確認したキリヤは、二人で廃工場を後にした。
キリヤは車に乗り込むや、美乃華にスマートフォンを渡す。
「ありがとうございます」
美乃華は言いながら、スマートフォンに視線を落とす。
【ターゲット 違法薬品密輸業者 ジン 違法薬品を所持、闇ルートで日本に流通させ、稼いでいる。報酬は彼らが集めた資金全額、六億円】
「……分かりました」
美乃華は言いながら、スマートフォンをダッシュボードに置いた。
「いつも通りにオーダーをこなすだけだ」
「はい」
美乃華がうなずくと、車はどこかの駐車場に入っていった。
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