第二章 違法薬品密輸業者

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 二人は車を降りる。キリヤは黒刀を両腰に帯びた。 「表立って、アジトがあるわけじゃないんですね」  周囲をきょろきょろと見ながら、美乃華が言った。 「株式会社三ツ木を探せ」  二人は駐車場を出て、近くのビルに向かう。 「あ、ありましたよ!」  美乃華が言いながら、ビルの看板を指さした。 「このビルの四階か」  キリヤは呟いて、すたすたとビルの中に入っていってしまった。  その後を美乃華が慌てて追い駆けた。  キリヤは右手を黒刀の柄に置きながら、株式会社三ツ木の看板を一瞥し、中に入っていく。  美乃華は右手でリヴォルバーのグリップを握っていた。  キリヤは警備員と(おぼ)しき男に黒刀を突きつけて言う。 「動くな」  男はピタリと動きを止めた。 「なんでしょうか?」  男は震える声で言った。 「ここにジンという組織があることは知っている。そこへ続く入り口に俺達を案内しろ」  男はうなずいて、案内を始めた。  その間に、もう一人の同じような恰好(かっこう)をした男が出てきて、状況を察したのか、警告音を鳴らそうと駆け出す。  美乃華は銃口を向けたものの、射程外だったために、小さく舌打ちをする。  警告音が鳴り出す。  キリヤは動じることなく、男の後についていく。  美乃華は二人から離れ、警告音を鳴らした男に近づいていく。  射程内に入るや、美乃華は引き金を引いた。  心臓を撃ち抜かれて、男は鮮血を流しながら、倒れた。  キリヤと男の視線が、一瞬、死んだ男へと注がれた。  美乃華はキリヤの許に戻り、男の後に続いた。  どこかに続く部屋のドアを開けて、男が言う。 「……この先です」  キリヤは無言で男の頸動脈を斬る。  骸はそのままに、キリヤは奥の部屋へ向かって歩き出した。美乃華も後に続いた。
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