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二人は車を降りる。キリヤは黒刀を両腰に帯びた。
「表立って、アジトがあるわけじゃないんですね」
周囲をきょろきょろと見ながら、美乃華が言った。
「株式会社三ツ木を探せ」
二人は駐車場を出て、近くのビルに向かう。
「あ、ありましたよ!」
美乃華が言いながら、ビルの看板を指さした。
「このビルの四階か」
キリヤは呟いて、すたすたとビルの中に入っていってしまった。
その後を美乃華が慌てて追い駆けた。
キリヤは右手を黒刀の柄に置きながら、株式会社三ツ木の看板を一瞥し、中に入っていく。
美乃華は右手でリヴォルバーのグリップを握っていた。
キリヤは警備員と思しき男に黒刀を突きつけて言う。
「動くな」
男はピタリと動きを止めた。
「なんでしょうか?」
男は震える声で言った。
「ここにジンという組織があることは知っている。そこへ続く入り口に俺達を案内しろ」
男はうなずいて、案内を始めた。
その間に、もう一人の同じような恰好をした男が出てきて、状況を察したのか、警告音を鳴らそうと駆け出す。
美乃華は銃口を向けたものの、射程外だったために、小さく舌打ちをする。
警告音が鳴り出す。
キリヤは動じることなく、男の後についていく。
美乃華は二人から離れ、警告音を鳴らした男に近づいていく。
射程内に入るや、美乃華は引き金を引いた。
心臓を撃ち抜かれて、男は鮮血を流しながら、倒れた。
キリヤと男の視線が、一瞬、死んだ男へと注がれた。
美乃華はキリヤの許に戻り、男の後に続いた。
どこかに続く部屋のドアを開けて、男が言う。
「……この先です」
キリヤは無言で男の頸動脈を斬る。
骸はそのままに、キリヤは奥の部屋へ向かって歩き出した。美乃華も後に続いた。
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