第二章 違法薬品密輸業者

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 奥の部屋へ続くと思われるドアを蹴破ったキリヤは、人の気配がないことに首をかしげる。  二人が辿り着いたのは(ひら)けた場所。  吹き抜けで、なん階か続いているのか、階を上がるごとに人の姿が見える。それぞれなにかを運んでいる。 「用があるなら、そこのエレベーターで四階へどうぞ!」  上からそう、声が聞こえてきた。  二人はその声に従って、エレベーターで四階に向かう。  『事務所』と書かれた看板を横目に、ドアを蹴破る。  中には受付嬢が一人と、男が数人ソファに座っていた。 「誰だ!」 「〝黒衣〟と、〝(せき)()〟だ」  キリヤは後ろにいる美乃華を指しながら言った。 「どうしてここにきた?」 「仕事できた」 「仕事、ねえ?」  男が言いながら、胡乱げな目をする。 「ここがジンの事務所だな? とすると、貴様らが中心人物か?」 「それがどうした?」 「それが分かれば十分だ」  キリヤは冷ややかな声で吐き捨てると、黒刀を抜いた。 「この野郎! ()る気か?」  男達四人が立ち上がり、拳銃を構える。 「二人は任せた」  キリヤはその言葉を無視して、美乃華に言った。  美乃華は無言で構えていたリヴォルバーの引き金を引いた。  発砲音とともに、右側にいた男が倒れる。  それを後ろで見ていた男が、狙いをつけて発砲。  しかし、美乃華はそれを躱し、男の頭を撃ち抜いた。  キリヤは左側にいた男に一太刀浴びせる。  男は胸から鮮血を流して倒れた。  続いて発砲してきた男に弾丸を喰らうことを覚悟の上で駆け寄り、心臓を一突きした。  男は驚愕の表情をしたまま死んだ。
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