第二章 違法薬品密輸業者

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「逸崎、きたぞ」 「おわっ! ……なんだ、お前達か」  PCの前に陣取っていた逸崎は振り返ると、キリヤの声でびっくりしたように言った。 「お前のところにくる人間なんて、そんなにいないだろ」  キリヤは溜息を吐いた。 「まあ、そうだけどな」  逸崎は苦笑しながら、PCを一瞥して、二人に向き直った。 「ん? 珍しいな。美乃華ちゃんが、お前の黒刀を持っているなんて」 「左手、怪我しちゃったんですよ」  美乃華は困ったように笑いながら言い、黒刀を傍らに置くと、ソファに座った。 「そうか、お前はさっさと奥へいけ」  キリヤに対してそう告げた逸崎は、カーテンに手をかける。  キリヤは黒刀を置きにいき、そそくさと、診察用のベッドに向かう。  逸崎がカーテンを引いた。  キリヤは革手袋から外し、右手でローブを脱ぎにかかる。それが終わるとワイシャツを脱ぎ始めた。なんとかそれを終えると、すべてカゴに放り込んだ。  キリヤがベッドに横になると、傷の具合を見た逸崎が呟く。 「こりゃ酷いな」  腹の左側をなにか鋭いもので刺され、複数の弾丸が埋まっている。左手は刃をつかんだのか、掌に横一線の深い切り傷が刻まれている。
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