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「どうして赤くなるんだよ?」
キリヤがニヤリと笑いながら尋ねた。
「真っ先に浮かぶのが、その……告白、されたときですから」
美乃華はミルクティーを飲みながら、身体を小さくしている。
キリヤは笑いながら、珈琲を飲み干した。
煙草を置いてあった灰皿に押しつけて、美乃華の隣に腰かける。
「どうしました?」
美乃華がそれに気づいて、カップをテーブルに置いた。
キリヤはきょとんとする美乃華を見ながら、少々強引に抱き寄せる。
「きゃ!」
美乃華がびっくりしたように声を上げた。
片腕で抱きしめられた美乃華は顔を赤くしながら、溜息を吐(つ)く。
「……驚かさないでください」
「その、可愛い顔が見たかったんだ」
カッコいい見た目に加え、耳に残る低い声。そんなふうに囁かれるとくらくらしてしまいそうだ。
その言葉を聞いた美乃華の顔がさらに赤くなる。
当の本人はニヤリと口許に笑みを浮かべている。
彼の身体からくる冷たさを感じながら、美乃華は思う。
――彼はノスフェラトゥ。つまりは吸血鬼。元は人間だったけれど、さまざまな事情がありノスフェラトゥとして転生した。そんな彼の過去を、闇を知り、彼のことを想うようになった。彼は私がいなくなるかもしれないと、恐れていた。私もまだ愛されることに慣れているわけではない。戸惑いが拭えない。それでも彼と一緒にいることに決めた。笑顔の裏に隠された、彼の過去。それは辛く、哀しく、苦しいものだった。彼は大したことではないかのような顔をして語ってくれた。その傍観さが余計に悲しかった。それもあって泣いたのだと、彼は気づいているのだろうか?
「美乃華?」
「なんでもありませんよ」
ふふっと笑った美乃華は、キリヤの肩に頬擦りをする。
キリヤは笑みを深くすると、美乃華の頬に口づけをする。
「へっ!?」
美乃華はびっくりしてキリヤを見て、顔を真っ赤にして視線を逸らした。
「くくっ」
キリヤはその反応が面白いのだろう。喉の奥で笑った。
「……からかってなにが楽しいんですか?」
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