第二章 違法薬品密輸業者

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「……ありがとうな」  キリヤは呟くように言うと、美乃華を優しく抱きしめた。  翌日、キリヤはリビングにいた。  ソファの背もたれを倒し、目を閉じていた。  起きて自室から出てきた美乃華はそんなキリヤを見つけて、トコトコと、近づいてソファに座る。  身体を休めているのだろう。  美乃華はその邪魔をすまいと、そうっと頬を撫でる。早くよくなりますようにと、願いを込めて。  手を離して立ち上がろうとした美乃華だったが、キリヤに手をつかまれてしまう。 「休んでいればいいのに、どうしたんです?」  立ち上がるのを止めて、キリヤの隣に座り直すと、美乃華は声をかけた。 「傍にいてほしかった」  キリヤは目を開けてそう言うと、美乃華を抱きしめた。 「っ……!」  突然のことに顔を赤らめながらも、キリヤの背に手を回した。 「私の心は、あなたとともにあります。寂しいだなんて、思わなくても、いいんですよ?」  美乃華が幸せそうに笑いながら言った。 「でもな、腕の中にいてくれないと、無性に寂しいときがあるんだよ」  キリヤは言いながら、美乃華をぎゅうっと抱きしめる。  ――寂しがり屋さんですね。  抱きしめ返しながら、美乃華が内心で思う。  ――そういう、ちょっとだけ子どもっぽいところも、好きですよ。  美乃華はふふっと笑いながら、キリヤの胸に頬擦りをする。 「苦しくないか? 寒くはないか?」  キリヤの気遣いがとても嬉しく思う美乃華は、愛おしそうに抱きしめた。 「大丈夫ですよ」  キリヤは安堵したように息を吐き、優しく美乃華を包み込んだ。
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