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第三章 美術館
それから数日後の昼間、キリヤは傷の具合を確認していたが、まだ治りきっていないだろうと予想。
そんな中、新たなオーダーでも入ったのか、スマートフォンが震える。
メールを確認したキリヤは、リビングに戻った。
そのころ美乃華はというと、昼食を終え、一杯のミルクティーを淹れてひと休憩していた。
のほほんとした空気に笑みを見せながら、キリヤが口を開く。
「オーダーが入ったぞ」
「分かりました、それで、怪我は治りましたか?」
「ああ。手は少し時間がかかるが、ほかは大丈夫だろう」
キリヤは咄嗟に嘘を吐いた。
怪我が治っていないと言ってしまえば、美乃華はオーダーを受けるのを止めてくるかもしれない。
少し無理をしても、大丈夫だろうと思っている。
怪我が増えるのは仕方のないことだ。
キリヤはそう割り切った。
「そうですか、必要なもの、取ってきます」
それを疑わなかった美乃華はそう言って、自室に引っ込んだ。
キリヤも一度自室に戻って、二本の黒刀を手に取った。その拍子に、左手が痛んだが、やり過ごす。
キリヤはふうっと息を吐くと、自室を後にした。
リビングに戻ると、腰にポーチとホルスターに収められたリヴォルバーを装備した美乃華の姿があった。
「行くぞ」
キリヤはそう告げた。
二人で廃工場を後にした。
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