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キリヤは車に乗り込むや、美乃華にスマートフォンを渡す。
美乃華はそれを受け取り、視線を落とした。
【ターゲット 美術館 ノニン 違法ルートを用いて入手した贋作を、本物として展示している。報酬は十億円】
「やっていることがもう、ダメですね」
オーダーの確認をした美乃華が、ぼそっと言った。
「そうだな」
キリヤは苦笑する。
「どうしてそう、手を抜こうとするんですかね?」
「さあな」
「これって、展示しているもの全部が、贋作ってことですよね?」
「ああ」
キリヤがうなずいた。
「呆れてものが言えません。だったら、本物を飾れるようにすればいいんですよ。そうしたら、狙われなかったかもしれないのに」
美乃華は頬を膨らませる。
そんな美乃華を見ながら思う。
――彼女も殺しを楽しんでいるのではない。
あらためてそう感じたキリヤだった。
「そろそろ着くぞ」
キリヤは美乃華に言った。
「大きな美術館ですね~」
美乃華が車から降りて言った。
彼女の言う通り、目の前には巨大な美術館の建物があった。
「いくか」
キリヤは黒刀を両腰に帯びて、そう言うと、歩き出した。
その後に美乃華も続いた。
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