第三章 美術館

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「責任者はいるか?」  キリヤは普段通りの声で聞いた。 「は、はい! 少々お待ちください」  訝しげな顔をしていた受付の女だったが、不機嫌そうなキリヤの顔を見て、慌ててどこかに電話をしだした。 「もうしばらくお待ちください」  受付の女はそう言って、右側を指し示した。  二人は受付から離れた右側に移動する。  しばらくすると、責任者と思しき男が出てきた。 「ここの展示品、すべて贋作だな?」  キリヤは他の客に聞こえないように、小声で聞いた。  男の顔から血の気が失せていく。 「……どうしてそれを」  キリヤは男とは違い、冷たい笑みを見せる。 「だが、表向きには本物だと言っているわけだ。そんな真似してたら、気づく客だっているかもしれんぞ? ……今はまだいないようだが」 「……こちらへ」  男が示した方向に、キリヤが歩き出す。それに美乃華も続いた。
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