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「責任者はいるか?」
キリヤは普段通りの声で聞いた。
「は、はい! 少々お待ちください」
訝しげな顔をしていた受付の女だったが、不機嫌そうなキリヤの顔を見て、慌ててどこかに電話をしだした。
「もうしばらくお待ちください」
受付の女はそう言って、右側を指し示した。
二人は受付から離れた右側に移動する。
しばらくすると、責任者と思しき男が出てきた。
「ここの展示品、すべて贋作だな?」
キリヤは他の客に聞こえないように、小声で聞いた。
男の顔から血の気が失せていく。
「……どうしてそれを」
キリヤは男とは違い、冷たい笑みを見せる。
「だが、表向きには本物だと言っているわけだ。そんな真似してたら、気づく客だっているかもしれんぞ? ……今はまだいないようだが」
「……こちらへ」
男が示した方向に、キリヤが歩き出す。それに美乃華も続いた。
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