第三章 美術館

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「我々はここの警備員です! お客様には危害を加えないので、どうか、落ち着いてください!」  エントランスに集まった客二十人ほどがパニック状態だったが、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「特殊部隊並みの恰好だよな?」  武器を片手に大声を出した男の恰好を、一瞥したキリヤは、隣にいる美乃華に囁いた。  その言葉に美乃華がうなずく。  自称警備員はおよそ三十人。  ――こちらが先か、いや、客が先か?  キリヤは考える。 「客からにするぞ。準備は?」 「いつでも」  美乃華は無表情に答えた。 「俺が楯になる。俺もできるだけ客を殺すが、残った客を頼む」 「はい」  楯になるという言葉を聞いて、暗い顔をした美乃華だったが、本人は気づいていない。頭を切り替えてそう答えた。
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