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キリヤはというと十人の男達の相手をしていた。
みな武器はさまざまで、次々に攻撃を繰り出してくる。
休む隙を与えない作戦なのかもしれなかった。
キリヤは痛みを堪えながら、首を狙って黒刀を振るう。
骸を次々に増やしていった。同時に新たな傷を負うも、キリヤは動きを止めなかった。
次は、と身構えたキリヤだったが、背後から男達を殺していた美乃華と視線が合った。
キリヤは自分達以外の生存者がいないことを確認すると、美乃華に近づいた。
「無理はしていないだろうな?」
「はい」
返り血で斑模様になったワンピース姿の美乃華が言った。
タイミングよく、出入り口を封鎖していたシャッターが上がる。
二人は一度事務所に戻る。
唯一生き残っていた女を、美乃華があっさりと射殺した。
二人は壊滅した美術館を後にした。
【オーダー完了 生存者なし】
キリヤは短いメールを送信した。
「ラボ、寄っていってくださいね!」
帰り道の車内で、美乃華が言った。
「ああ」
キリヤがうなずく。
「キリヤさん、どうして自分の身体を張ってまで、守ってくれたんですか?」
美乃華は先ほどからずっと思っていた疑問を口にした。
「惚れている女なんだから、身体を張ってでも守るさ。勝手かもしれないが、お前が傷つく姿を想像しただけでも嫌なんだ」
「分かりましたけれど、そんなの勝手すぎません?」
美乃華は顔を赤らめながらも、不満を口にした。
「そうだな」
キリヤは申し訳なさそうに言った。
ラボの前に車を停めるキリヤ。
「話の続きは、帰ったら、な」
キリヤの言葉に、美乃華がうなずいた。
二人は車から降りると、中に入っていった。
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