第三章 美術館

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 キリヤはというと十人の男達の相手をしていた。  みな武器はさまざまで、次々に攻撃を繰り出してくる。  休む隙を与えない作戦なのかもしれなかった。  キリヤは痛みを堪えながら、首を狙って黒刀を振るう。  骸を次々に増やしていった。同時に新たな傷を負うも、キリヤは動きを止めなかった。  次は、と身構えたキリヤだったが、背後から男達を殺していた美乃華と視線が合った。  キリヤは自分達以外の生存者がいないことを確認すると、美乃華に近づいた。 「無理はしていないだろうな?」 「はい」  返り血で斑模様になったワンピース姿の美乃華が言った。  タイミングよく、出入り口を封鎖していたシャッターが上がる。  二人は一度事務所に戻る。  唯一生き残っていた女を、美乃華があっさりと射殺した。  二人は壊滅した美術館を後にした。 【オーダー完了 生存者なし】  キリヤは短いメールを送信した。 「ラボ、寄っていってくださいね!」  帰り道の車内で、美乃華が言った。 「ああ」  キリヤがうなずく。 「キリヤさん、どうして自分の身体を張ってまで、守ってくれたんですか?」  美乃華は先ほどからずっと思っていた疑問を口にした。 「惚れている女なんだから、身体を張ってでも守るさ。勝手かもしれないが、お前が傷つく姿を想像しただけでも嫌なんだ」 「分かりましたけれど、そんなの勝手すぎません?」  美乃華は顔を赤らめながらも、不満を口にした。 「そうだな」  キリヤは申し訳なさそうに言った。  ラボの前に車を停めるキリヤ。 「話の続きは、帰ったら、な」  キリヤの言葉に、美乃華がうなずいた。  二人は車から降りると、中に入っていった。
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