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黒い唇の悪魔
一応、オレと彼女は今日から夫婦なのだ。
「よろしくお願いします」
オレは、全力で頭を下げた。
「ああ。よろしく」
彼女は、見た目そのままの、悪魔的な感じの女の子だった。
高卒で工場のライン勤務。何の取り柄もないオレは、初めてできた彼女と即入籍したのだ。
私服にドクロのTシャツを着て、髪をところどころシルバーにして、黒い口紅を塗っているような、ヘビメタ系女子だ。
一言で言えば、「黒い唇の悪魔」なのだ。
舌にピアスをしていてもおかしくはないのだが、なぜだか彼女は、
「タトゥーとか、舌ピとか、あんなものは悪魔のするものじゃない」
と言って、頑なに拒否しているところが、オレは凄く大好きだった。
「そうだよね、悪魔はタトゥーとかしないよね。あり得ないよね!」
(見た目、絶対に太ももとかに薔薇のタトゥーとか、至る所にピアスしたりしているはずなのに、一切してないところが良いんだよなあ)
オレは、この壮絶なギャップというか、違和感がたまらなく好きだった。
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