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転校生
3人とも同じクラスだった。
教室ではまだみんなわいわいがやがややってる。
「ね、間に合ったでしょ?」
愛莉は得意げに言った。
「ギリギリだったじゃないか」
「それは校門前でしゃべってたから、でも時間通りだよ」
そんな話をしていると。チャイムが鳴った。
本当にギリギリだ。
それでもみんな騒いでる。
やがて、まゆみちゃんが教室に恐る恐るはいってきた。
まゆみちゃん、小林真由美。このクラスの担任だ。
誰も気づかない。
僕と愛莉は席についていたが。
「み、みなさん、席について……」
か細い声でそういうまゆみちゃん。
だけではなかった。
髪を金髪にそめて、スカートは短い。いかにもヤンチャやってるような娘が一緒にいた。
「お、お願いだから席について……」
今にも泣きそうな声でうったえるまゆみちゃん。
そろそろ頃合いかなと思ったのかクラス委員の愛莉が「きり……」までいいかけると。
ガタン!!
金髪の娘が教卓を思いっきり蹴飛ばした。
静まり返る教室。
「がたがたやってんじゃねーよ!さっさと席につきやがれ!!」
娘の大声で、みんな慌てて席に着いた。
落ち着いたまゆみちゃんが、改めて紹介する
「きょ、今日は転校生を紹介します。音無神奈さんです」
「よろしく!」
ん?音無……どっかで聞いた名前だ。
「席は……片桐君の隣が開いてますね。とりあえずそこに……」
そう言うと音無さんはこっちを見る。向こうもこっちを知っているようだ。
「あれ……?あ!とーやじゃん!久しぶり!!」
音無さんがそういうとこっちに駆け寄ってくる。
「元気してたか!?いやあ、まさかこんな形で再会とはな!ドラマみてーだな!」
元気よく、話しかけてくる音無さん。
僕は少し困惑していた。
そんな、僕の様子を見て悟ったのか。
「なんだー?覚えてないのか!?カンナだよ!小4の時一緒だっただろ!」
カンナ……あっ!思い出した。
「カンナか!久しぶり、引っ越したんじゃなかったのか?」
「思い出したか!また戻ってきたんだよ!いやあ驚いた!」
音無神奈は幼馴染だ。
小4の時に東京に引っ越していった。
凄い活発な子で、色々遊んだ。
「お、音無さん。席について……」
「お!じゃあまた後でな!」
そういってカンナは席についた。
・
帰りも愛莉と二人で下校だった。
カンナは生徒指導室に呼び出されていた。
あの格好じゃ無理もない。
「音無さんとはどんな関係なの?」
ちょっと不機嫌そうに愛莉が尋ねてきた。
無理もない。
学校にいる間、休憩時間が来るたびにカンナが僕に話しかけてきて、愛莉と話す時間がなかったんだ。
席も隣だったためか、昼休みもだ。
つまり愛莉は僕と話す時間がなかったことに腹を立てているらしい。
「幼馴染だよ」
「私と知り合う前のでしょ。親しそうだったじゃない」
「向こうから話しかけてきたんだよ」
「それにしてもさあ~、冬夜君も冬夜君だよ。なんか鼻の下伸びてた」
「そ、そんなことないよ」
いや、あの格好は中学生には刺激的すぎるだろ。
「私もあんな格好にしてみようかな?」
「頼むから止めてくれ」
「なんで?」
(今でも十分綺麗だし可愛いから)
なんて言葉、恥ずかしくて言えるはずもなく……。
「似合わないっていいたいの?」
黒髪のツインテールが可愛らしい彼女はそう言ってむくれる。
ヤッパリ可愛い。
「そんな事言ってないだろ。今でも十分なんだからわざわざあんな格好しなくてもいいだろ?」
「十分……なに?」
こんなキャラだったのか?
相変わらずとらえどころのない彼女に耳打ちする。
「十分可愛いから」
ほんのり愛莉の頬が赤く染まった気がする。
「うそ!本当!嬉しい!」
飛び跳ねて喜ぶ愛莉。
その後の愛莉は上機嫌だった。
分かれて家に帰るまで。
一安心した僕は、家に帰るとベッドに寝転んだ。
どっと疲れがきたのか夕飯の時間まで寝てしまっていた。
「冬夜!ご飯だよ~」
母さんが呼んでる。
部屋を出て下に降りると……。
「おばさん、やっぱりご飯おいしいですねー!」
「そう?そう言ってもらえると作った甲斐があるわ」
「それにしても神奈ちゃんかわったなぁ」
元気に夕食を食べてるのはカンナだった。
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