次の日の朝

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次の日の朝

(1) 私は、ベッドの上で後悔していた。 勢いとはいえ随分大胆な行動にでてしまった。 しかも路上で。 冬夜君は呆然としていた。 「冬夜君の事、好きだから」 何度も言ってきたことだけど。 最初に告白したのは小学校最後のバレンタイン。 雨の中チョコレートを渡しに言った際にメモを入れておいた。 翌日風邪をひいてしまったが、見舞いに来てくれた。 「メモ……見てくれた?」 冬夜君は頷いた。 「それで?」 「うん」 こうして、私たちは付き合うことになった。 付き合ってるはずだった。 彼は嫌がってる様子はないし、好きだとも言ってくれた。 今更のこのこ現れた幼馴染に奪われるつもりはない。 そんな気持ちがこみあげてあんなことをしてしまった。 私軽い女ってみられたかなあ。 明日どんな顔して彼に会おう。 普通、普通がいいよね。 忘れてしまおう! そう思って寝ることにした。 (2) 「冬夜君おはよう!」 いつも通りの朝だ。 違うことと言えば、いつもより30分早い事。 「早めに起こしてくれっていったじゃない」 よく覚えていたなぁ。 愛莉の様子はいつも通りだった。 昨日の事がなかったかのように。 逆に僕の方がどきどきしていた。 「着替えるから下で待ってて」 「はぁ~い」 そう言うと部屋を出る。 もうひと眠りしようか? そう考えたけど、また来そうだから急いで着替えて準備して部屋を出る。 ダイニングには父さんが新聞を見ながらコーヒーをすすっていた。 「おお、冬夜。今日は珍しく早いな」 「起こされたんだよ」 答えながらいつもの席に座る。 「起きようと思えば起きれるのね」 いつも思うのだが、男の僕の部屋に女子が勝手に入ることを何とも思わないのだろうか? ただの幼馴染ならともかく彼女だぞ。 そんな僕の疑問など知る由もなく母さんは、朝食を用意した、 隣には愛莉が座ってる。 いつもより機嫌がよさそうだ。 あ、昨日母さんに頼まれたこと話さなければ。 「愛莉話が……」 「先に準備済ませた方がいいんじゃない?」 ハッとして時計を見る。 時計は7時45分を指していた。 急いでご飯を食べると、仕度をする。 結局いつもと変わらない時間に家をでるのだった。 「朝ごはん食べれてよかったね」 呑気に話す愛莉。 僕は話を切り出した。 「あの話があるんだけど」 「なあに?」 「実は昨日母さんから聞いたんだけど、カンナ……音無さんのことだけど」 カンナの名前を口にした途端、嫌そうな顔をした。 それでも僕は話をつづけた。 「実は……」 僕は、母さんから聞いたことを愛莉に話した。 その反応はというと……。 「ふーん、それで?」 「それでって……」 「冬夜君はどうしたいの?私はどうしたらいいの?」 「それは……、とりあえずカンナと仲良くしてやって欲しい」 「あ、そういうことね。別にいいけど」 何か反応が微妙に冷たい。 「機嫌悪い?」 恐る恐る聞いてみた。 「別に?ただ友達になればいいんでしょ?」 あっさりと答える愛莉。 ただやっぱりいつもと様子が違う。 「カンナのこと、嫌い?」 「そんなことないよ。何か寂しそうな感じは感じてたし。それより……」 それより……? 「朝から音無さんの事ばっかだね!って」 妬いてるのか? 「そりゃ、昨日母さんから聞いた時はびっくりしたから。そんな事情があったなんて」 「まあ、そうだよね」 それから愛莉は何か考えていた。 そして僕にこう言った。 「優しくするのはいいけど、中途半端な優しさは音無さん余計に辛くなるだけだよ」 「どういう意味だよ?」 「そのまんまの意味よ。あ、学校についた」 それでこの話はお終いになった。 あまり他の人に聞かれたくない話だから。 学校についてからの愛莉は普通だった。 友達ににこやかに挨拶をしていた。 愛莉は一番後ろの席。 その二つ前が僕の席。 右隣がカンナの席なんだけど……。 カンナは学校に来てなかった。
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