第5章 符合

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2037年 アミューズメントパーク内 俺たちは、源兵衛の家とおぼしき家にたどり着いていた。 凍砂「ここでいいんだよな?」 俺「源に〇(まる)が書いてあるから、恐らく………」 凍砂「じゃあ、開けるぞ」 俺「いや、待って。チームの他の3人が来てから開けた方がいいんじゃないか?」 凍砂「そうか………女子たちの到着を待ちますか?むふっ」 俺「顔が、ニヤけてるぞ………。まったく、………」 すると、チームの3人ではなく、なぜか、主催者の空路以が、やって来た。 空路以「すみませんが、蒼井さん、ちょっと控え室まで、来ていただけませんか?」 俺「何の用ですか?」 空路以「たいして、お手間は取らせませんので………」 凍砂「ああ、俺なら構わねえよ。先に朱飯ちゃん達と先に現場見てるからご心配なく………」 俺「………」 俺は、空路以に促され、控え室に向かった。 10分ほど歩き、番に〇が書かれた戸のある家に、案内された。 俺「ここは?」 空路以「番屋です。まぁ、現代風にいうと、交番みたいなところです。ゲーム上では………ですがね。実際は、この通り、スタッフの控え室です」 俺「はぁ………。それで、なぜ私を呼んだのですか?」 俺がそれを聞いたとき、空路以の目が光った気がした。 空路以「あなたの先祖に、『動達』さんという方は、いらっしゃいませんか?」 俺「あなたが、なぜ、それをご存知なのですか?」 空路以「実は、私の先祖が、このゲームにも登場する『源兵衛』なのです!」 俺「えっ?」 空路以「つまり、あなたの先祖と私の先祖は、平賀源内の兄弟弟子だったのです」 俺「それは、本当ですか?」 空路以「私は、先祖の源兵衛の妻を殺した犯人を知りたくて、このゲームを作りました。そして、さりげなく、その容疑者の子孫を、このゲームに招待したのです。」 俺「一体誰を招待したというのですか?」 空路以「今、まさにあなたのチームにいるあの4人ですよ。木井炉 凍砂、朱飯 夜詩子、城囲 遊来子、暮以 文様、この4人です」 俺「何ですって?」 空路以「そこで、あなたに頼みたい事があります。誰が犯人の子孫なのか、このゲームを行いながら、探し出して欲しいのです」 俺「なぜ、そんな事を、俺に頼むんですか?」 俺は、少し感情的に空路以に訊いた。 俺「あなたが、私の先祖の弟弟子の子孫、ということは、確実に分かっています。つまり、あなたが犯人の子孫ではあり得ない。つまり、先祖の事で私を襲う心配をしなくて良い唯一の存在だからです。あの事件の犯人は、あなたの先祖が源内に弟子入りした時にすでに居なかった、二番弟子から五番弟子という、四人の中の誰かなのは、ほぼ間違いないのですから………」 俺「………」 俺は、数分後、頭の中が混乱したまま、凍砂たちがいる長屋の方へ歩き出していた。 第6章へつづく
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