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2037年 アミューズメントパーク内
俺たちは、源兵衛の家とおぼしき家にたどり着いていた。
凍砂「ここでいいんだよな?」
俺「源に〇(まる)が書いてあるから、恐らく………」
凍砂「じゃあ、開けるぞ」
俺「いや、待って。チームの他の3人が来てから開けた方がいいんじゃないか?」
凍砂「そうか………女子たちの到着を待ちますか?むふっ」
俺「顔が、ニヤけてるぞ………。まったく、………」
すると、チームの3人ではなく、なぜか、主催者の空路以が、やって来た。
空路以「すみませんが、蒼井さん、ちょっと控え室まで、来ていただけませんか?」
俺「何の用ですか?」
空路以「たいして、お手間は取らせませんので………」
凍砂「ああ、俺なら構わねえよ。先に朱飯ちゃん達と先に現場見てるからご心配なく………」
俺「………」
俺は、空路以に促され、控え室に向かった。
10分ほど歩き、番に〇が書かれた戸のある家に、案内された。
俺「ここは?」
空路以「番屋です。まぁ、現代風にいうと、交番みたいなところです。ゲーム上では………ですがね。実際は、この通り、スタッフの控え室です」
俺「はぁ………。それで、なぜ私を呼んだのですか?」
俺がそれを聞いたとき、空路以の目が光った気がした。
空路以「あなたの先祖に、『動達』さんという方は、いらっしゃいませんか?」
俺「あなたが、なぜ、それをご存知なのですか?」
空路以「実は、私の先祖が、このゲームにも登場する『源兵衛』なのです!」
俺「えっ?」
空路以「つまり、あなたの先祖と私の先祖は、平賀源内の兄弟弟子だったのです」
俺「それは、本当ですか?」
空路以「私は、先祖の源兵衛の妻を殺した犯人を知りたくて、このゲームを作りました。そして、さりげなく、その容疑者の子孫を、このゲームに招待したのです。」
俺「一体誰を招待したというのですか?」
空路以「今、まさにあなたのチームにいるあの4人ですよ。木井炉 凍砂、朱飯 夜詩子、城囲 遊来子、暮以 文様、この4人です」
俺「何ですって?」
空路以「そこで、あなたに頼みたい事があります。誰が犯人の子孫なのか、このゲームを行いながら、探し出して欲しいのです」
俺「なぜ、そんな事を、俺に頼むんですか?」
俺は、少し感情的に空路以に訊いた。
俺「あなたが、私の先祖の弟弟子の子孫、ということは、確実に分かっています。つまり、あなたが犯人の子孫ではあり得ない。つまり、先祖の事で私を襲う心配をしなくて良い唯一の存在だからです。あの事件の犯人は、あなたの先祖が源内に弟子入りした時にすでに居なかった、二番弟子から五番弟子という、四人の中の誰かなのは、ほぼ間違いないのですから………」
俺「………」
俺は、数分後、頭の中が混乱したまま、凍砂たちがいる長屋の方へ歩き出していた。
第6章へつづく
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