第1章 余波

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占い師「お主らの運勢は………」 茜「運勢は?」 占い師「上々じゃ。」 占い師は、笑顔で、そう言った。 茜「それって………」 占い師「順調に行けば、二人は結ばれるじゃろう。『しょうじき』が役に立つはずじゃ」 茜「やったー。正直が一番だよね」 茜は、俺の方を向いて、うなずいた。 しかし、占い師は、神妙な顔つきになって、話を続けた。 占い師「但し、何か不吉な事が、この辺りに起こる卦(け)が出ておる。その余波をまともに食らうと、お主らにも不幸な事が起こるやも知れぬ。気をつけるのじゃ………。」 茜「ありがとうございました。さぁ行こう」 茜は、占い師に礼を言うと、俺の手を取って店を出ようとした。 俺は、慌てて、席から立ち上がり、茜と共に店を出ようとした。 その時、占い師は、小さく、俺にだけ聞こえるような声で付け足すように、こう言った。 占い師「ラッキーアイテムは、おもちゃのような時計。この事を絶対に忘れるな。必ず役に立つ時がくるはずじゃ。ラッキーアイテムを絶対に忘れるんじゃないぞ!」 占い師は、念を押すように俺にそう言うと、店の奥に姿を消した。 俺たちは、学校に向かって歩いていた。 茜「良かった。やっぱりあの店、当たりだと思う。曹達も来て良かったでしょ?」 俺「う、うん」 茜「私の話、ちゃんと聞いてた?」 俺「うん、聞いてたよ」 茜は、気にしてないようだったが、俺は、占い師の老女が、なぜ、最後に、あんなに、ラッキーアイテムの事を念を押すように言ったのか、その事が、心に引っ掛かっていた。 翌日 なぜか、ひどい頭痛がして、俺は、その日学校を休んだ。 その次の日 いつもなら、心配して、登校前に来ると思っていた茜が、なぜか来なかった。 俺は、普通に朝食を済ませると、茜の事を母親に訊いてみた。 俺「母さん、今日、茜、来なかった?」 母「茜って、誰のこと?」 俺「何言ってんだよ。幼馴染みの茜に決まってんだろ」 母「だから、誰だって?」 俺「俺をからかってるのか?」 父「お前こそ、何を寝ぼけてるんだ。お前に、『茜』なんて、幼馴染み居ないだろうが………」 俺「父さんまで、俺をからかってるのか?」 俺「いいよ。とにかく、俺は学校に行くよ。行って来まーす」 俺は、一抹の不安を抱えながら、玄関を飛び出した。
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