1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
占い師「お主らの運勢は………」
茜「運勢は?」
占い師「上々じゃ。」
占い師は、笑顔で、そう言った。
茜「それって………」
占い師「順調に行けば、二人は結ばれるじゃろう。『しょうじき』が役に立つはずじゃ」
茜「やったー。正直が一番だよね」
茜は、俺の方を向いて、うなずいた。
しかし、占い師は、神妙な顔つきになって、話を続けた。
占い師「但し、何か不吉な事が、この辺りに起こる卦(け)が出ておる。その余波をまともに食らうと、お主らにも不幸な事が起こるやも知れぬ。気をつけるのじゃ………。」
茜「ありがとうございました。さぁ行こう」
茜は、占い師に礼を言うと、俺の手を取って店を出ようとした。
俺は、慌てて、席から立ち上がり、茜と共に店を出ようとした。
その時、占い師は、小さく、俺にだけ聞こえるような声で付け足すように、こう言った。
占い師「ラッキーアイテムは、おもちゃのような時計。この事を絶対に忘れるな。必ず役に立つ時がくるはずじゃ。ラッキーアイテムを絶対に忘れるんじゃないぞ!」
占い師は、念を押すように俺にそう言うと、店の奥に姿を消した。
俺たちは、学校に向かって歩いていた。
茜「良かった。やっぱりあの店、当たりだと思う。曹達も来て良かったでしょ?」
俺「う、うん」
茜「私の話、ちゃんと聞いてた?」
俺「うん、聞いてたよ」
茜は、気にしてないようだったが、俺は、占い師の老女が、なぜ、最後に、あんなに、ラッキーアイテムの事を念を押すように言ったのか、その事が、心に引っ掛かっていた。
翌日
なぜか、ひどい頭痛がして、俺は、その日学校を休んだ。
その次の日
いつもなら、心配して、登校前に来ると思っていた茜が、なぜか来なかった。
俺は、普通に朝食を済ませると、茜の事を母親に訊いてみた。
俺「母さん、今日、茜、来なかった?」
母「茜って、誰のこと?」
俺「何言ってんだよ。幼馴染みの茜に決まってんだろ」
母「だから、誰だって?」
俺「俺をからかってるのか?」
父「お前こそ、何を寝ぼけてるんだ。お前に、『茜』なんて、幼馴染み居ないだろうが………」
俺「父さんまで、俺をからかってるのか?」
俺「いいよ。とにかく、俺は学校に行くよ。行って来まーす」
俺は、一抹の不安を抱えながら、玄関を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!