第3章 虚構

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2037年 夏 都内 俺は、大学のサークル仲間に誘われて、山梨県との県境近くに、この秋新設されるアミューズメントパークに来ていた。 スビーカー「間もなく、開園致します。一列に並んで、もう少々お待ちください」 俺「中は、どんな感じなのかな?」 凍砂「さあ?入ってみればわかんじゃねぇ?」 俺「それは、そうか………」 こいつは、木井炉 凍砂(きいろ いずな)、俺と同じ、バーチャルゲーム同好会の仲間だ。こいつに、このアミューズメントパークのモニターの話を聞いて、早速、申し込んだら、なぜかモニターに選ばれ、こうして、今、こいつとここにいる。 スビーカー「それでは、開園します。どうぞ中にお入りください」 行列は、20人ほどで、すぐに入口に到達した。 俺たちは、中へ入ってみて驚いた。 凍砂「?」 俺「何もない?」 中は、四方が全て真っ白で何もない、だだっ広い空間が広がっていた。 その時、少し遠くのちょっと高くなった場所に、人が立っているのに気がついた。 男「ようこそ、我がアミューズメントパーク808へ。私は、このアミューズメントパークの総責任者の空路以 通(くろい とおる)です。皆さまをこれから江戸の街へ招待したいと思います。行け(ゆけ)、江戸へ!」 そう言って、男が、ボタンを押した。 すると、今まで、何もなかった真っ白な空間に、ボタンを押した直後から、みるみる江戸の街並みが再現されていった。 俺「こ、これは………」 空路以「これが、わが社が誇るバーチャルタウンシステムを用いて出来た街並みであります。 モニターの方々には、これから、この街で起こったゲーム内の殺人事件の謎を解いてもらいたいと思います。 各モニターは協力しても良し。単独で調べるのも良し。 詳しいルールは、街中[まちなか]の高札[こうさつ](掲示板のような物)に書いてあります。 では、用意、スタート!」 パォーン ラッパのような音が会場内に響き渡った。 凍砂「曹達、まず、どうする?」 俺「そうだな、とりあえず、ルールが書いてある高札とやらを見に行こう」 凍砂「それはどこにあるんだ?」 俺「まずは、それを探すんだよ」 凍砂「そ、そうか」 俺は、とりあえず、建物の入口から奥の方、街の中心部と思われる所に向かって走った。
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