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2037年 夏 都内
俺は、大学のサークル仲間に誘われて、山梨県との県境近くに、この秋新設されるアミューズメントパークに来ていた。
スビーカー「間もなく、開園致します。一列に並んで、もう少々お待ちください」
俺「中は、どんな感じなのかな?」
凍砂「さあ?入ってみればわかんじゃねぇ?」
俺「それは、そうか………」
こいつは、木井炉 凍砂(きいろ いずな)、俺と同じ、バーチャルゲーム同好会の仲間だ。こいつに、このアミューズメントパークのモニターの話を聞いて、早速、申し込んだら、なぜかモニターに選ばれ、こうして、今、こいつとここにいる。
スビーカー「それでは、開園します。どうぞ中にお入りください」
行列は、20人ほどで、すぐに入口に到達した。
俺たちは、中へ入ってみて驚いた。
凍砂「?」
俺「何もない?」
中は、四方が全て真っ白で何もない、だだっ広い空間が広がっていた。
その時、少し遠くのちょっと高くなった場所に、人が立っているのに気がついた。
男「ようこそ、我がアミューズメントパーク808へ。私は、このアミューズメントパークの総責任者の空路以 通(くろい とおる)です。皆さまをこれから江戸の街へ招待したいと思います。行け(ゆけ)、江戸へ!」
そう言って、男が、ボタンを押した。
すると、今まで、何もなかった真っ白な空間に、ボタンを押した直後から、みるみる江戸の街並みが再現されていった。
俺「こ、これは………」
空路以「これが、わが社が誇るバーチャルタウンシステムを用いて出来た街並みであります。
モニターの方々には、これから、この街で起こったゲーム内の殺人事件の謎を解いてもらいたいと思います。
各モニターは協力しても良し。単独で調べるのも良し。
詳しいルールは、街中[まちなか]の高札[こうさつ](掲示板のような物)に書いてあります。
では、用意、スタート!」
パォーン
ラッパのような音が会場内に響き渡った。
凍砂「曹達、まず、どうする?」
俺「そうだな、とりあえず、ルールが書いてある高札とやらを見に行こう」
凍砂「それはどこにあるんだ?」
俺「まずは、それを探すんだよ」
凍砂「そ、そうか」
俺は、とりあえず、建物の入口から奥の方、街の中心部と思われる所に向かって走った。
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