かどのあい

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かどのあい

 暗闇に重たい打撃音が走った。 「ぎゃああああ!!」  間髪を入れずそれを上書きする男の叫び声。 「いってえなぁ……もう……勘弁してくれよぉ」  そんな悪態をつきながら蹲る姿は実に哀れだった。  細やかな達成感を感じずにはいられない。  けど、その反対で罪悪感も感じている。  痛みを素直に声として出せる羨ましさも感じている。  自分にそれができないって事に対する怒りも。  つまり、僕の心はぐちゃぐちゃになるんだ。  それはとても苦しい事だけれど、どうしてもやめる事は出来なかった。  どれだけ自分の行いにブレーキをかけようとしても、この体が言う事を聞いてはくれないのだ。  ひょっとすると、僕は悪魔の子なのかもしれないと思う事がある。  いや、本当は理解しているんだ。  こんな行いをやめられない理由。  そして、自ら心の痛みや苦しみを叫びにできない理由。  どちらも僕自身の存在に原因がある。  つまり……。
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