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休日ということもあり、家族連れや学生、カップルで遊園地はかなり混み合っていた。
「すごい広いね、ここ来たの初めてかも」
「本当?この辺りだとけっこう有名な遊び場なんだ」
「そうなんだ〜」
彼女は僕の隣を小動物のようにチョコチョコと歩く。はぐれないように手は繋いだままなのが、小さい子供と歩いているようで、なんだか癒やされた。
「……あ! あれ入らない?」
彼女はお化け屋敷を指さして、はしゃいだ声をあげる。
「怖いの平気なの?」
「ユウトくんとだったら行けると思うんだ」
「なんだそれ、まあいいよ、行こう」
俺は彼女の手を引いて、お化け屋敷へと入っていった。
「……絶対に離さないでよね」
彼女は俺の腕に強くしがみつく。その姿は素直に可愛らしい。そんなことを考えていたその時、物陰から顔に血糊を塗った男が現れた。
「きゃあ!」
彼女は不快にならない程度の、しかし女の子らしい高い声で悲鳴をあげ、俺の腕にぎゅっとしがみついてくる。
「ははっ大丈夫だよ」
「もう……笑わないでよ、ホントに怖かったんだから」
俺はそんな彼女の仕草に愛しさを感じながら、頭を撫でてやった。この調子なら、今日のデートも成功だろう、なんて考えながら。
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