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「シュウイチくん?」
そう名前を呼ばれて僕はビクッと声のした方を見る。胸元の大きく開いた身体のラインがわかる服。真っ赤なリップが塗られ、妖しく艶めく唇。地味男の僕とはどう考えても不釣り合いな大人の色気を醸し出す女性が、僕を見ていた。
「今日はよろしくね」
彼女はそう言うと、早速僕の腕に自分の腕を絡ませ、胸を押し付けてくる。
「よ、よろしく、お願いします……」
僕は緊張で情けなく裏返った声で、なんとかそう返す。
「ふふっ緊張してるの? 可愛い」
そう笑った吐息が、耳にかかる。僕はまた、ビクッと体を震わせた。
……僕はなぜ、こんな人とデートしているのだろう? 自分で頼んだので自業自得と言われればそれまでなのだが、ここまでセクシーに来られるとは思っていなかったのだ。
「今日は遊園地に連れてってくれるんでしょ? 早く行こう」
僕は腕に押し付けられた柔らかい胸の感触に戸惑いながら、スマホの地図を確認して歩きだす。
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