「初めて」を何度でも

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 遊園地にたどり着いたころには、彼女とかなり話せるようになっていた。 「着いたよ」 「へぇ〜、ここ初めて来た」 「本当? けっこう有名な所だから、来すぎて飽きてるかもって不安だったんだ」 「……もう、私がデートに慣れてると思ってない?」 「え? 違うの?」 「何その反応? ひどくない!?」  そんなことを話しながら園内を並んで歩く。すると突然、彼女はお化け屋敷を指さして言った。 「ねぇ、あれ! 入ってみよ?」  彼女の勢いに押されてお化け屋敷に入ったものの、その中はかなり暗く、心細くなる。 「……ちょっと怖いかも?」  さっきまで調子に乗っていた彼女も、組んでいる腕の力が強くなっているのがわかる。 「だ、だからやめようって言ったのに……」 「シュウイチくんも怖いの? 男でしょ、守ってよ」 「えぇ……それはちょっと……」  無理かな、そう言おうと思ったその時、お化け……血糊を顔に塗った男性が、物陰から飛び出してきた。 「きゃっ!?」  彼女は女の子らしい、しかし耳障りにならない程度の可愛らしい悲鳴をあげて、僕に飛びつく。甘い香水の匂いが鼻をかすめた。 「びっくりしたぁ」  彼女は僕の胸に顔をうずめたまま潤んだ瞳で上目遣いに僕を見る。 「大人っぽい見た目してるけど、意外とだめなんだね、こういうの」  彼女の意外な一面を見つけ、僕は思わず笑ってしまう。このまま行けば、彼女とはもっと仲良くなれる気がした。
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