7人が本棚に入れています
本棚に追加
遊園地にたどり着いたころには、彼女とかなり話せるようになっていた。
「着いたよ」
「へぇ〜、ここ初めて来た」
「本当? けっこう有名な所だから、来すぎて飽きてるかもって不安だったんだ」
「……もう、私がデートに慣れてると思ってない?」
「え? 違うの?」
「何その反応? ひどくない!?」
そんなことを話しながら園内を並んで歩く。すると突然、彼女はお化け屋敷を指さして言った。
「ねぇ、あれ! 入ってみよ?」
彼女の勢いに押されてお化け屋敷に入ったものの、その中はかなり暗く、心細くなる。
「……ちょっと怖いかも?」
さっきまで調子に乗っていた彼女も、組んでいる腕の力が強くなっているのがわかる。
「だ、だからやめようって言ったのに……」
「シュウイチくんも怖いの? 男でしょ、守ってよ」
「えぇ……それはちょっと……」
無理かな、そう言おうと思ったその時、お化け……血糊を顔に塗った男性が、物陰から飛び出してきた。
「きゃっ!?」
彼女は女の子らしい、しかし耳障りにならない程度の可愛らしい悲鳴をあげて、僕に飛びつく。甘い香水の匂いが鼻をかすめた。
「びっくりしたぁ」
彼女は僕の胸に顔をうずめたまま潤んだ瞳で上目遣いに僕を見る。
「大人っぽい見た目してるけど、意外とだめなんだね、こういうの」
彼女の意外な一面を見つけ、僕は思わず笑ってしまう。このまま行けば、彼女とはもっと仲良くなれる気がした。
最初のコメントを投稿しよう!