怒りの行方

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 それほどまで、今にも爆発寸前の怒りが止まらない。いつもなら簡単にコントロールできるはずの感情をどう扱えばいいかわからない。今までは深呼吸でなんとかなっていたのに、今はもうそれでは無理だ。  ――積りに積もったものが、限界に来たのかな  どう足掻こうと、この怒りをどうにかして発散しないとどうしようもない。 でないと自分がつぶれてしまう。だからといってこれ以上子どもを頭ごなしに怒鳴ったり、叩いたり、蹴飛ばしたり、頬をひっぱたいたり……想像では何度もしているけど、実際にはしたくない。しないために今まで頑張ったのに今やってしまったらそれはただの暴力、虐待。  どうして、他のママさんはこの怒りを我慢できるのだろう?  煮えたぎってどうしようもないこの激しい感情をどうやって扱っているのだろう。私には無理だ、もう無理だ。何かで発散しないと心がモタナイ。それでも私は、理性により何とか怒りを飲み込んだ。「もう……食べ物を粗末にしちゃ、だめよ」そう告げて何とか笑顔を作った。息子は「ごめんなさい」と素直に謝ってくれた。3歳ながらに少したどたどしい言葉。その謝罪の言葉が聞ければそれでいい、それで満足だ。いつもならそれでいいのに――  子供を実家へ預けても怒りは収まらず、むしろずっと怒りの対象を見ていたせいで増幅した感情で呼吸がしづらい。今日はなんなんだ。どうしてここまで怒りが沸き上がっておさまらないんだ。怒りって、こんなに頭を痛めて心臓を傷めて視界をチカチカさせるほど苦痛なものだっただろうか。  ――でも、もう、仕事に行かなければならない    この精神状態で仕事に行くことは困難を極めた。この怒りのまま仕事に行ったら、きっと、モノや、人に、当たってしまう。そんなことはしたくない、人として絶対にしてはいけない。なら、どうすれば……
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