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朝から少し元気がなかった智矢は、二限目の途中から保健室で休んでいた。
奥二重で横にすっと長い目は、カッターナイフで引いた痕みたいに、しっかりと閉じられている。
薬を飲んで、さっき眠ったところだと山中先生が言っていた。
まだ熱が下がっていないのか、顔がほんのりと赤い。
触れたらきっと、温かいんだろうな。
一歩、一歩、ベッドに近付いてそっと伸ばした手。その手は智矢のだいぶ手前でぴたりと止まり、すぐにおれの元へ戻ってきた。
もしかしたら、これから起きることを全て知っているんだろうか。
窓から差し込む光を受けた智矢の左耳のピアスが、牽制するように、オレの目に向かって光を反射させた。
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