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目のまえに、智矢が居る。手を伸ばせば届くところに、智矢が居る。その髪に、目に鼻に頬に耳に唇に……触れたいと思った。
左腕に学ランを抱えたまま立ち上がると、いすがギギッと小さく音を鳴らした。
そっと伸ばした手は、やっぱり少し震えていた。
ワックスできっちりセットされた短い髪に、遠慮気味に触れる。絶対に、金髪だとは認めようとしない、きらきらした明るい色に染められた髪。
ふと、立ち上げた前髪をたけちゃんに触られそうになったときの、智矢の不機嫌な顔を思い出し、口元が緩んだ。
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