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イーサンの発言にキャロは人目を憚らずミントティーを吹き出した。
その姿に、ほれとハンカチを手渡すと顔を赤くして引ったくるように取り口を拭く。
少し噎せて涙目なキャロはイーサンに顔を近付けて
「サラマンダーって火山帯に居るあのサラマンダーですよね」と興奮している。
サラマンダーは全長2~3mの全身が赤褐色のトカゲで脱皮をすると鮮やかな赤色が特徴。
火山帯という過酷な環境に居るため暑さや乾燥に強く個体によっては火を吐くことも報告されている。
脱皮後は派手で目立つが、日にちの経ったサラマンダーは火山の岩と色が似ているので群れで影から襲う狩りを行う為、討伐には最低でも冒険者ランクC級以上では無いと確実に命を落としてしまう。
そしてこのサラマンダーの粘液は、塗ると新陳代謝を高め皮膚のターンオーバーを繰り返すことにより傷を治す力が増し、短時間で元通りになるので貴族や大商人などの富裕層の間では若返りの薬として高額で取引されている。
そんな貴重な薬をたった銀貨一枚で渡してしまうイーサンに新米冒険者キャロは食いぎみだった。
「なんだキャロも欲しかったのか。そうだなお前も冒険者になったからな、餞別で同じの用意して持っててやるよ」
その言葉にキャロは何とも言えない声をだし「後でお金請求しない?」と半信半疑な顔で見て「払いたいのか?」と冗談を言うと首を横に振り否定した。
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