その瞳で

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ウソ、だろ。 何でだ。 俺、そんなにあからさまにおかしかったか? こんな奴にすら気付かれるほど? 「アイツさ……やり辛いよなぁ」 「は?」 見当違いの言葉に頭の中に無数の“??”が浮かぶ。 「アイツ学年1位かなんかしんねーけど、 俺達教師をバカにした所あるよなぁ。 いつも新任教師とかが来ると質問攻めにして 教師としての自信喪失させんだよっっ! どれだけアイツの所為で 新人教師や実習生を不登校にしてきたことか、ムカつく」 「…………。」 つまり、アンタも被害者ってとこかよ。 どうやら危惧するような内容ではなさそうで、 取り敢えずはホッと胸を撫で下ろす。 「いえ、俺、そんなコトされてないですけど」 今度驚いたのは粂部の方だった。 「え??ウソ!!? マジで!?そんな事今まで一度も無かったのに」 粂部は俺の顔をまじまじと覗き込んで、 「お前……相当気に入られてるぜ?ソレ」 「はぁ……」 マジ意味が分からない。 そもそも藤宮がそんなことをするとは思えないし、 アンタがそんな風だからじゃないのか?と俺は思うけどな。
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