その瞳で

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「どうだ?毘聿、もう大分慣れたか?」 学食で昼食を摂っていた俺の隣に腰を下ろした麻巳に どうだ?と顔を覗き込まれた。 「あ?何に?」 「…………そうだった。 お前は最初から馴染んでたっけか」 他の自習生が緊張と生徒の対応でキリキリ胃を痛くして 食事をする気も起こらないっていうのに お前ときたらとかなんとか言ってるし。 「え?お前まだ食うの?」 食堂のおばちゃんに“大盛りでね~”と催促している後ろから お前は大物だなと呆れた声で、 コレでもかってぐらい料理を大盛りに乗せた皿を見て 再び噴き出しそうになるのを必死で抑えてる。 「んだよ?何笑ってんだ? メシくらい自由に食って良いじゃん」 俺だって緊張とかしてるに決まってんだろ。 でも腹は空くんだよ、生きてんだから。 「いや、良いんじゃないか?アハハ」 だったら笑うな……。 「なぁ?毘聿、藤宮、その……どうだ?」 思わず、かき込んでいた手が止まる。 「ゴホッ!!どぉ……って何がっ?」 (麻巳ヤツ、喉が詰るかと思ったぜ) 「……困ってないかと思ってさ」 「別に。ソレってさ科学の粂部からも言われたけど何も問題ねぇよ」 “そうか”と、言った麻巳の顔は、 粂部とは少し違う反応だった。 だけど麻巳まで“藤宮”の名前を出してくるなんて 流石に気になってくる。 「なぁ、そんなに何かあんの?あの藤宮ってヤツ」
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