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「よし、良いぞ。
じゃあ……次、ふ、藤宮この問題解いてみて」
チッ、また。
たかだか生徒の名前を呼ぶだけだってのに
何故だか藤宮を呼ぶ時に限ってついどもってしまう。
「ハイ」
というか……存在自体が気に掛かかって仕方がない。
意識してしまうのは単に今まで居なかったから?
それとも……
例の“謎の誕生日会”の真相の所為か?
藤宮は1、2年の誕生日の時、
プレゼントを携えた近隣の女子高の生徒達が
出待ちするだけに留まらず校舎まで入り込み
相当な騒ぎになってしまった経緯があった。
しかもその騒ぎがほぼ一週間にも及び
学校にこれ以上迷惑を掛けれないからと
2年次には途中から自主休学までしていたと。
バレンタインデー・クリスマスも然りで
藤宮本人どんなに嫌がっても全く女生徒達は
聞き入れてくれずそうせざる得なかったらしい。
これら全て麻巳を問い質して知ったことだ。
黒板に向かって真横で問題を解いている藤宮に目がいく。
本人が聞いたら眉を潜めるだろうが
女生徒の熱狂ぶりは分からなくもない。
(ホント、凄い美形もいるもんだ。
綺麗だけど、中性ぽさとかそういうんじゃなくて)
そりゃ……モテるさ。
……だから、何だ。
どうしてこうもコイツを意識してしまうんだろう。
「先生?」
「あ、ごめ。正解だ。席に戻って良いぞ」
またその背を見ている自分がいる。
馬鹿か?俺。
教師として毅然とした態度を取らないと
この先が思いやられると自分を律した。
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