その瞳で

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キンコン~~      「那賀代先生~」 「那・賀・代・センセイ!」 「わぁぁ!!!」 いきなり両肩に手を置かれて、 考え事をしていた俺は多分だけど 数センチは飛び上がってかもしれない。 振り向くとそこには白衣を纏った科学の教師が立っていた。 「あ、粂部先生!?如何したんですか?」 この先生、いつも背後から声を掛けて来たり、 抱きついてきたりとやたらとスキンシップが多い。 良く知りもしないのにアレだけど……なんとなく苦手。 「奏でいいぜ?」 ……呼べねぇって。 何でアンタの下の名前を 実習生の俺が呼ぶんだよ? 訳分かんねぇ……コイツ。 「なに?考え事? 困ったことあるなら俺に話してみてよ」 これ以上無いって位、顔を近つけてその超~怪しげな先生は言う。 「ハハハ……」 しいて言うなら、お前だとは言えないだろうが。 「別に何も無いです」 「ん~、そんな顔じゃなかったぞ……あ!分かった!」 (面倒臭せぇな。 麻巳~~!何処に行ったんだよ、クソッ!!) 「藤宮允人の事だろ?」 これには流石に驚かずにはいられなかった。 思わず粂部の顔を凝視する。 「な……に言ってんですか?」 「隠すなよ」 「……!」
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