その瞳で

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その瞳で

「待たせたな」 返事を返された本人は、その返事に苦笑しながら 「オイオイ……毘聿(びいつ)、ここは大学じゃないんだ。 ちゃんと“先生”って呼べよ?」 「あ!悪りィ悪りィ」 ホントにそう思ってるのか?と口にはしているが、 これ以上言っても無駄だってこと学習しているようで 更に突っ込んであたり付き合いの長い相手は良いもんだと改めて思う。 「な~麻巳(あさみ)」 「“先生”!!」 「ヘイへイ……“麻巳先生さんよ~”」 ちぇ~っと軽く舌打ちしつつ渋々一応従う体を取る。 「昼メシ何時?」 それを聞いた麻巳は派手にズッコケてしまった。 「お前、全くイイ度胸してるよ」 ま、言わんとすることは分からなくはないが…… というのも今いる場所は有名なお坊ちゃん校の【月城の宮学園】で、 今日は記念すべき教育実習第1日目だからなんだろうが、 所詮は母校、気負う理由は…………無い。 「お前さ、緊張とかしないの?」 「え?何で?ガキばっかだし、しかも男子校でさぁ 気張る必要性何処にも無いじゃん?」 「……あ……そう」 元々麻巳は大学の先輩で、気さくで面倒見の良い性格から 周りからの信頼も厚かった。 俺もよく可愛がって貰ったこともあって ついつい兄のように慕うというか甘えているんだろうな。 口調がぞんざいになってしまうのもその所為だが それすら麻巳は許してくれる。
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