仮面

4/12
前へ
/1256ページ
次へ
皆結局自分が大事なんだよ。 周りの事なんか知らない。 虐められたって皆哀れみの視線向けるだけで、誰も助けようとはしない。 『○○からお越しの~、青いティシャツに緑のジーパンをお召しになった、北岡理雄君という五才の男の子が迷子になってます。お連れ様は、迷子センターまでお越し下さい』 コールセンターの人が何度も呼ぶのに、お昼を過ぎても夕方になっても百貨店が閉まる時間になっても、誰も現れなかった。 「おかーさん……俺が良い子にしてたら迎えに来るって言ったのに……ヒック…………俺、何か悪い事した?」 「理雄君、今日はここに泊まって良いからまた明日捜してみようか」 そしてコールセンターの人は、俺に目線を合わせながら肩に手を置いてくる。 “いつまでも泣かれたら面倒” そんな言葉がその人の顔には出てた。
/1256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加