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拾ってきてから三日が過ぎた。俺が何を与えても、コイツは何も食べようとしなかった。
「お前…このままじゃ死んじゃうぞ…。」
俺はどうすればいいのかと困り果てた。
高級な食べ物を買ってやるべきか、と財布を取り出したとき、ひらひらと一枚の写真が舞い落ちた。
すると腹をすかせた生き物が勢いよく写真に飛びつき… パクッ。
「お、おい!やめろ!これは大事な写真なんだぞ!」
俺の愛する彼女の写真。大事な写真だからいつも財布に入れて持ち歩いているものだった。
俺は彼女、詩織に一目惚れだった。
バイト先のカラオケ店で客として来た詩織に、俺は猛アタックをした。
詩織には婚約していた男がいたが、俺の熱意に負けてか、婚約を解消してまでこんな俺を選んでくれた。
何度目かの告白をしてやっとOKをもらった日、二人でこの写真を撮った。俺は絶対この女を大事にする。そう誓った日だ。
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