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二人だけの教室
僕、如月・優斗は高校一年生。
放課後に教室に残り一人の時間を過ごすようにしている。
教室の窓から見えるのは、サッカー部が練習をしている様子と下校中の他の生徒たち。
『ガラガラガラ』
窓を閉めて僕は席につく。これから読書をするつもりだ。
「はぁ……。」大きな溜め息をつき心はホッとしていた。
「やっぱり一人は落ち着くな。」
本を読もうとしたとき、廊下から誰かが走って来る音がした。
「忘れ物しちゃったー!」
隣の席の宮下・愛華さんだ。
「あれ?如月くん帰らないの?」
「僕は、もう少しゆっくりしてから帰りますよ。」
「へぇー!そうなんだね!
そうだ聞きたいことがあるんだけど!」
「なんでも聞いてくださいね。」
会話のテンポが良かったのか、僕は自然とコミュニケーションをとれていた。
「如月くんって、好きな人いるの?」
「いないですよ。」
「そうなんだねー!居るかと思ってた!」
広い教室で二人。広い場所で話しているからなのか、そこまで緊張せず話せていた僕が居た。
二人の会話以外に、教室にある時計の秒針が鳴り響く。
「如月くんって楽しみな時間はあるの?例えば誰かと話してる時間とかあるじゃん!!」
「宮下さんと思い出を作ってる今が楽しいです。」
「……嬉しい。そんなこと言ってくれるなんて。」
『宮下さんと思い出を作ってる今が楽しいです。』
こんな発言をした自分に驚きを隠せなかった。
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