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 五明(ごめい)駅構内で、多くのお客が、朝晩問わず、自販機で缶ジュースを買い求める。 「いらっしゃいませ。当自販機は、お客様のお顔を記念撮影します。お写真がご不要な方は、写真不要のボタンをお押しください」  客がコインを入れる度、自販機から抑揚のない声がする。声の主は、“自販機のセシリオ”の女性従業員だ。プロのナレーターを使えば、ギャラが発生するからだ。    当惑して離れる客。ラッシュ時の喧騒(けんそう)と忙しさで、ナレーションなど聞いておらず、完成した写真を取り忘れる客も続出した。  誰のか分からない写真は、忘れ物として駅に届けられ、ただでさえ忙しい駅員の仕事は増えてしまった。
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