プロローグ*奪われた日常

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契約とか道具とか・・・ 女を何だと思ってるの? 全てを育ちの環境の悪さのせいにして・・・ 彼は生まれながらにして、人としてのココロが欠落していた。 私があれこれ考えていると俊吾さんが着替えを済ませて、戻って来た。 「着替えたぞ。杏南」 私は彼を無視した。 私がシカトしていると俊吾さんが近づいて来た。 「!?」 突然、顎を指先で摘まみ上げ、顔を上向かせる。 キ、キスされる・・・ 「ま、待って・・・」 私は彼の胸板を両手で押し、抵抗する。 「人が話し掛けているのに、無視するからだ・・・」 彼はすぐさま顎の指を離した。 キスされるかと思った私の胸が意思に反してドキドキしていた。 「そのグロスは君に似合わない。 もう少し、薄めのグロスにしろ」 「グロスの色を決めたのも貴方の好きなAIですよ」 「そうか・・・AIもまれに失敗するんだな・・・」 高すぎず、低すぎないテノールの声。 冷たく聞こえるけど声の質はいい。 イケメンでハイスペック これで、優しく、溺愛されたら・・・
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