レッスン6

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 ぼんやりそんな事を考えていたら、私のスマートフォンが鳴り出した。あ、珍しい。コスプレ仲間のスターダストというチームで活躍している子からだ。イベントのお誘いかな?  私は電話をその場で取った。別に聞かれても困る内容でも無いし、わざわざ外へ移動するのも面倒だ。 「はーい、もしもーし」 『あ、Chie様?』  スターダストというコスプレチーム、三人組で頑張っている後輩の『まんちゃん』からの電話だった。苗字が万田だから、『まんちゃん』。  彼女たちは私の事をChie様と言う。知り合いだし、呼び捨てでいいんだけどって言っても、後輩だから敬意を込めてこう呼びたいと言って、絶対に譲ってくれない。コスプレのノウハウ、結構教えた。衣装の作り方とか、拘りとか、色々。 『今度、コスプレバトルのイベントをやるんです。あの・・・・シークレットゲストでChie様に出て頂きたいのですが、参加して貰えませんか?』  確か美波先生の新刊発売イベントは十月中旬だったよね。 「十月の第二週の土曜日以外だったら大丈夫よ」 『あ、そんなに先じゃないです。九月中です』  彼氏もいない独り身アラフォーは、何の予定もありゃしないのよ。 「うん、いいよ。参加しても。何着てもいいの?」 『わー、そう言って下さると思っていました! ありがとうございます!』   かなり喜ばれた。誰かに必要とされるのは嬉しい。
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