レッスン1

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   幾ら今、私が酔っ払いでも、区別付くよ。  私の敬愛する美波(みなみ)先生の作品に出てくる、『鳥井健也(とりいけんや)教授』は、シルバーフレームの眼鏡をかけ、さらさらのストレートヘアに長身で、切れ長の瞳が美しく、筋肉質でまさに世の女が理想とする身体つきをしていらっしゃるの!  そんな容姿を持ちながら、女性が苦手で寡黙な大学教授。萌えるー。  年齢も三十六歳で、同じ年。私と相性ピッタリだと思うのよね!  でも鳥井教授は、大学生の教え子に淡い恋心を抱いている。増田郁夫(ますだいくお)――ああ。私は彼になりたい。彼になって、鳥井教授に愛されたい。というより、こっちが愛したい。教授を食べたい。  はい。ごめんなさーい。肉食獣の腐女子でーす。  いや、もう女子じゃないな。腐女でーす。  脳内がこんな調子だから、現実の男に夢を抱きすぎて、全然話にならない。  だから、結婚は両親を安心させる為にも早くしたいけど、相手がいない事には出来ないから困っている。三年も付き合ったんだから、もうそろそろ結婚して両親に紹介してもいいだろーって思った矢先の出来事ならぬ出来婚だった。
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