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「南さーん、助けてーぇ! 梱包が全然終わらないのー!!」
彼女がいないと、絶対に仕事終わらない!
私は南さんに泣きついた。助けて、と。
「いたいっ、いたたたた・・・・っ」
肩を掴んで抱きしめると、彼女が顔を歪めて痛がった。
私、そんなに怪力だったかしら!?
「南さん、どうしたの?」
南さんの異常な痛がり様に、自分の怪力が原因では無いと思った。
「諏訪さん」
南さんに付き添っていった神保君が前に出て来てくれて、彼女に代わってフォローしてくれた。
「実は南さんが、先ほど出荷が間に合わないと判断して、わざわざ車から降りて、一人で重い荷物を抱えて集荷所に向かって下さったのです。出荷はお陰で間に合いましたが、そのせいで腕と肩を痛められてしまいました。これ以上彼女に負担をかけるのは、よくありません。派遣の――しかも梱包担当でもない方に、ここまで我々社員が頼り切っているのは、どうかと思いますよ? 労災手当も出して、有給休暇も取って頂けるように致しましょう。そうすれば、いかに彼女が我々の為に頑張って下さっていた事が、わかりますから」
「それは困るわっ!」
有給あげたいところだけれど、彼女に休まれたら通販部は機能しなくなるっ!!
「神保君っ。解ったの! 南さんが今までどんなに頑張ってくれていたのか、よーく、よ――――くわかったのぉお――っ!」
思わず神保君に詰め寄った。
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