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「いたいっ」
小さく悲鳴が上げられた。
「あらやだ、ごめんなさい。おほほ・・・・」
慌ててごまかし笑いをした。
「とにかく今回の件は、問題を起こしてしまった三人を信頼して、頑張ってくれていると疑っていなかったの。定時で帰れないと、南さん嫌そうな顔をするし、責任無いなあって勘違いしていたから。これについても申し訳無かったわ。ごめんなさい」
「あ、いいえ、もう、いいですから」
南さんが私の謝罪に恐縮している。
「そういう訳にはいかないわ。過ちはきちんと正さなきゃ。ちょっと、鶴田さん達もいらっしゃい! 南さんに謝って!」
「は、はいっ」
泣き跡をくっきり顔に貼り付けた彼女たちが、三人並んで南さんに頭を下げた。「ごめんなさい」
「いいよ。こっちも腹を立ててビンタで張り飛ばしたから、気分はスッキリしているし、別にもう何とも思っていないから。出荷も間に合ったし」
優しいのね。私としては通報したいくらいなんだけど。
これからは、心を入れ替えて仕事を頑張ります、って三人は言っているけれど、どうしようかしら。これだけの事をしたのだから、お咎め無しっていうのもねえ。
「あの、諏訪さん。よろしいですか?」
処分について考えていた難しい顔をしている私に、神保君が声を掛けてくれた。
「彼女たちを罰したいのはやまやまですが、犯罪だと立件して事を荒立てる事は、却って会社の不利益になります。南さんが赦して下さるなら、この話はここだけの話で落ち着けませんか?」
「・・・・まあ、そうね。上に報告はきちんとさせて貰うわ。それで、判断してもらいましょう」
「そうですね。それがいいでしょう」
神保君が爽やかな微笑みを見せてくれた。ああぁー、素敵。いっくんに激似だわーぁ。
鳥井教授がいっくんに意地悪した時に見せるような、困った顔をしてくれたら、女子は悶えるわね!
仕事中だというのに、神保君があまりにいっくんに似ているから、腐女子の妄想が広がってしまって困るわ!
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