レッスン4

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  「頼もしいわね。月曜日からは、あの三人をアゴで使っていいからね。監視カメラもある事だから大丈夫だとは思うけれど、嫌がらせされたら、すぐに私に言ってね?」 「諏訪さんがこってり絞って下さったから、これに懲りたと思いますよ。だから大丈夫だと」 「そうね。これでまだ貴女に何かするなら、私が赦さないから。今度そんな事したら、まとめてクビにしてやるわ」  南さんって、話すと面白いわ。カッコいいし、仕事出来るし、人は見かけによらないわね。  談笑していると、来社のベルが鳴った。時計を見ると午後八時半で、荷物の回収にドライバーが来てくれたのだ。  作業場の入り口の所にある、インターフォンに直結している来社の際に映る監視カメラの映像を機械のモニターで見ると、帽子を取って『ヤマトの山下です』の挨拶と共に、頭を下げる彼の姿が映っていた。 「荷物の集荷に来てくださいました。行って来ます」南さんが搬出口へ向かうために、私に背を向けた。 「宜しく伝えておいて」 「はい」  さあ。私も尾田君を探しに行かなくちゃ。  作業室を出て、営業部の方へ向かった。尾田君がまだ会社に居てくれたらいいけれど、どうかしら――そう思いながら角を曲がると、丁度長身の男がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。  背が高く、見た目は硬派な堅物男。鋭い目線に女性は密かに黄色い声援を上げるというか、なんというか。結構な女性社員から狙われている、エリート男。  まあ、私のストライクゾーンではありませんから。関係無いけど。  基本、年上好きだから。
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