レッスン4

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 年下は前の彼氏で懲りた。年齢が若い分、年下は油断ならない。すぐ若い女と浮気するんだ。  年上でも同じ様に浮気するかもしれないけれど、オバサンに飽きたと言われても、年上なら仕方が無いが赦せる。  結果。女は若くてピチピチな方がいいというのが、世の男たち共通の思想だ。  三十五歳を超え、アラサーに近づいても綺麗な人は沢山いるけどね。  私もそんな中に入りたいけど、腐女子だから無理。コスプレが趣味で隠れてコソコソレイヤーやっているなんて、もう誰にも言えないわ。 「お疲れ様」  自分から尾田君に声をかけた。 「ああ、諏訪さん。どうも、お疲れ様です」  長い腕を上げ、尾田君が挨拶してくれた。 「ねえ尾田君。今日の夜、暇かしら? 相談があるんだけど、飲みに行かない? 奢るわよ」 「ああ、いいですよ。丁度フラれて予定が無くなり、暇になったところですから」 「それは良かった。じゃあ悪いけど付き合って。仕事終わらせちゃうから、少しだけ待っていてくれる?」 「承知しました」  微笑んで彼は私の前を通り過ぎて行った。ふわっと香る、爽やかなシトラス系の匂い。男性用の香水でも付けているのか、身だしなみにも気を遣える男って、やっぱり遊び人だと思う。こんないい匂い、今までの彼氏から嗅いだこと無いもの。  私も汗臭さとか加齢臭とか気になるから、自作のコロンを愛用しているけれど、もう一度飲みに行く前に振っておこう。  さあ。気合入れて人事相談よ!  尾田君に南さんが統括になるための、プレゼンをしなくっちゃ!
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