レッスン1

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 かくいう私は二十代の頃、大好きな推しアニメキャラが、誰かがやった悲惨なコスプレ具合を見て、非常に許せない気持ちになったのだ。推しキャラが目も当たられないような、酷いブサイク男になったら、そりゃー怒りも沸くでしょう。  それからは、自分で徹底的にやってやると決めたんだ。  裁縫は好きだったから、細かい作業も得意だし、何せよ服は大好きだから、就職先の会社はアパレル関係の大手の紗々(さしゃ)を選んだし、趣味と実益を兼ねて、自身がコスプレを始めたのだ。  二十代前半からやり始め、早十年以上の月日が流れた。お陰でコスプレも板につき、Chie様と呼ばれ、取り沙汰されることも増えた。  雑誌・ポスター・イベント等、活躍の場は様々で、一応私もその界隈では有名になった。ツイッターも随分前からやっている事もあり、フォロワー数は一応何十万と持っている。  ついこの前は、テレビの取材もあったくらいだ。今度のイベントにも取材が来る予定。  でも、完全フルメイクのコスプレだから、私が紗々の通販部で働くオバサンだという事は、誰も知らない事実。  そして私には、繊細な衣装を作るだけでなく、もう一つ武器がある。  男をただ悦ばせる事しか出来ない、無駄な巨乳(私はGカップあるのだ!)の持ち主なのだ。このバスト、コスプレには活きている。男装をする時がちょっと辛いけどね。男装する時は、サラシ巻くんだよ。  無駄な巨乳のせいで淫乱扱いされるわ、ロクでもない男にばっかり好かれるわ、挙句の果てにはお前の乳だけあればいい、とかいう既婚者の最低男にも引っかかる始末だし。  
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