レッスン5

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  「そうなんだよ、豪。これは運命かもしれない」  真顔で言う尾田君。冗談でも恥ずかしくないのかしら。私の方が赤面しそうだわ。 「昭一郎、調子いいことばっかり言ってたら、そのうち泣かせた女に刺されるぞ」 「大丈夫。円満で別れているから。お互い様だし」  うわー。良く言うわー。こんなの絶対お断りよぉー。 「だったら昭一郎、邪魔すんなよ。俺、千恵ちゃん狙いだから」  そうだった。最近小晴が付き合ってくれないから、渉の愚痴言って一人で呑んだくれていたら豪君に、俺とつき合わない、って言われたんだった。  酔っ払いを慰める冗談だと思っていたのに、はああ。豪君、何も尾田君が横にいる今、そんな事言わなくてもいいじゃない。 「えっ。豪、諏訪さん狙いなの? そっかぁー」 「昭一郎、応援してくれよ」 「ヤダ」満面の笑みで尾田君が断った。 「そんな事言わずにさ、頼むよ」 「ヤダ」 「ケチ」  ・・・・豪君と尾田君は、似たようなタイプなのかもしれない。 「豪君、気持ちは嬉しいけど、もう当分彼氏は要らないわ。それにね、前の年下彼氏との別れが最悪だったから、年下はもうこりごりなのよ。ごめんなさい。今から尾田君に仕事の相談があるの。プライベートはまた今度ね」  話が進まないから、やんわり遠ざけた。  もしこれで付き合って、ダメになったらもう『ヤマギシ』のホルモン食べられなくなるじゃないの!  私にとってはそっちの方が困るのよっ。
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