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それに豪君みたいな若い子は、どうせその場限りの肉体関係を希望するだけでしょ。
こんなオバサン、結婚相手になんか考えたりしないわ。
「千恵ちゃんは相変わらず手ごわいな。ま、確かにプライベートはまた次にしておくよ。邪魔してゴメンね。ホルモンは何時もおまかせでいい?」
「ああ、うん。お願い。シマチョウ多めで!」
うふふ。ヤマギシのホルモンの中でも、シマチョウは本当に絶品なのよね。美味しくってつい食べ過ぎちゃうの。
「昭一郎もおまかせでいい?」
「うん。諏訪さんと一緒でお願いしまーす」
二本指でチャッ、とポーズを決め、尾田君が豪君に向かってウィンクをした。
豪君は何か言いたげだったが、仕事もあるからカウンター中央の焼き場へ戻って行った。
「カンパーイ」
早速尾田君が私の持ったジョッキに自分のジョッキを当ててきた。
「あ、うん、カンパーイ」
調子狂うわね。尾田君って、何時もこんなガチャガチャした感じなのかしら。まあ、若い子ってこんなものなのかしら。
ああ、イヤダ。オバサンになると、ノリもついていけないわ。
とりあえず喉が渇いていたので、ジョッキの中身を流し込んだ。
ああーん、五臓六腑に染み渡るぅー。美味しいわぁー。仕事終わりのビールって、どうしてこんなに美味しいのかしら!
「いい飲みっぷりですね」
「いけない? 美味しいもの。こんなのすぐ空いちゃうわ」
ぷはーってやらなかっただけ、マシだと思ってちょーだい。
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