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「いいですねぇー。酒の飲める女性、大好きです」
「あっそ」
私は遠慮なくビールジョッキを空け、おかわりを注文した。見ると尾田君のジョッキも空になっていたので、彼のビールも注文した。
「ところで諏訪さん、相談って何ですか?」
お通しの枝豆をつまみながら、早速尾田君から切り込んでくれた。
「相談ね。南さんの事よ。通販部の派遣社員、南楓さん」
切り込んでくれたから良かった。話が早いわ。
「ああ、真面目で仕事ができる南さんですね。彼女がどうしました?」
「私のポジションを、南さんにやって貰おうと思っているのよ。統括をね。実は今日、通販部でとんでもないことがあって――」私はかいつまんで概要を説明した。「という訳で、南さんが一番の適任者だと思うの。勿論私がサポートするし、ゆくゆくは社員になって貰いたいから、いいポジションを当てておくのは彼女にとっても会社にとってもメリットしか無いと思うの。さっきも言ったけれど、彼女は私たちの知らないところでずっと頑張ってくれていたの。昇給も含めてお願いしたいのだけれど、どうかしら?」
相談事を真剣に聞いてくれた尾田君は、難しそうな顔をしながら言った。「諏訪さんはいいのですか?」
「私? 何が?」
「年下の派遣社員に命令されて構わないのですか? 今回は南さんの昇給だけで、統括のポジションまで彼女に譲らなくてもいいんじゃないでしょうか?」
私の様子を観察するように尾田君が言った。
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