レッスン6

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 いっくんに新刊とポスターの代金八千円と、チェキが一枚千円で合計九千円の二人分を支払った。  小晴、泣いて喜ぶわよおおおお――――!  邪魔になってはいけないので頭を下げてブースを去り、私は遠巻きに教授を見つめた。機種の古いしょうもないスマホしか持っていない事を、今、死ぬ程後悔した。ああ、最新機種に機種変更しておけば良かった! まさかこんなことになるなんて!!  望遠なんか微妙だから、ズームで撮ったら教授のブレ感が半端なかった。ちくしょう。  携帯で撮るのは諦めて、教授を眺めた。美波先生のブースはそれはもう大変な人だかりになっていて、長身の教授の顔と、いっくんの顔だけが辛うじて見えた。一番乗りして良かった。チェキ完売とか張り紙もう出てる。ラッキーだ。一生の宝物にしよう。  それにしても教授・・・・ああ、凛々しいお姿。素敵です!  もう私は、貴方しか目に映りません!!  うーん、それにしても残念だわ。今日ここに早苗がいたら良かったのに。そしたら教授の写真いーっぱい撮って貰えたのにぃー。  暇だったら会場に来てくれるかもしれないと思って電話を掛けてみたが、コールのみで出なかった。まあ、今日はどこかのイベントに出かけてそうだもんね。 「お写真宜しいでしょうか?」  可愛らしい女性に声を掛けられた。「はい、結構ですよ」と少し低いオスカルみたいな声色で話し、微笑んだ。  ああ、普通の恰好でくれば良かったかなぁ。どこかで着替えようかしら。  しかし私(Chie様)だと気が付かれてしまい、一緒に撮影して欲しいと順番に撮影依頼が舞い込んできたため、教授を見るどころではなくなってしまった。  嬉しいのだけれど、今日だけは・・・・!  ああ。教授――っ。
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