負けられない戦い ある兄妹の話

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 猫だって、毎日忙しいのよ。意外とやることが沢山ある。わからないでしょう。  私はミー、もうすぐ素敵な大人の女性になって、恋をするの。それにはオシャレをしなきゃと、日々のグルーミングはかかさないわ。  私にはお兄ちゃんが二人いる。少し体格がまあ〜るくて、おっとりしている上のお兄ちゃんのブラウンと、シルバーグレーの短い毛でしっかり者の下のお兄ちゃんスカイ。上のお兄ちゃんのブラウンって名前は、毛の色が茶色だからつけたんだって、飼い主のサトルが言ってた。呼びにくいからブー兄って呼んでる。ちょっと変だけどブー兄は怒らない。下のお兄ちゃんは目の色が青いから、空色でスカイだって。私はミーだし、つけかたがわかりやすいのがサトルらしい。   ブー兄とは、時々おやつの取り合いで喧嘩になるけど、だいたいは私を優しく見守ってくれている。関心がないってこともあるかもだけど。  面倒なのは、スカイ兄の方、いちいち私のやっていることにダメだしをしてくる。  「食べ物はこぼさないで食べるんだ。お行儀が悪いだろう。」  そんなにこぼしてはいなかったのに、ちゃんとわかってる。最近はまた一段とうるさくて、いいかげんにしてほしい。いつかギャフンと言わせたくて、いろいろ試すけどなかなか上手くいかない。  ガチャガチャと玄関の鍵が開く音がする。 サトルが帰ってきたんだ。サトルは社会人三年目だ。やっと仕事にも慣れてプライベートも楽しみはじめた。  サトルが笑っていてくれると私達も嬉しい。
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