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私は笑顔で彼に声を掛けた。
「お祖父さん。両親は不慮の事故で命を落としてしまいましたが、お母さんはお祖父さんのことをずっと愛していたと思います。これを見てください」
私は持ってきた私の『エコー写真』をデイブさんに渡した。その少し焦げた『写真』を彼は見つめている。
「これは?」
「母のお腹に居る私を超音波で撮影した『写真』です。その裏を見て下さい」
デイブさんが『写真』を裏返して見つめている。彼の瞳から涙が溢れて来ているのが分かる。
『この娘に天国に居る母と同じ”Lisa”の名前を送る。愛する父がこの娘に逢って母を想い出せる様に・・』
デイブさんは空を仰ぎ、大声で母の名前を叫んだ。そして肩を揺らして男泣きした。
一頻り泣くと彼は顔を上げて、私達を笑顔で見つめた。
「リサ、そしてリンタロウ。君達は結婚するんだね。マリーとジュンの分まで幸せになるんだぞ。おめでとう!」
私達は顔を見合わせると笑顔で大きく頷いた。
FIN
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